子供が生まれたとき、あらゆる種類の意味深い重要なことを考えさせられたよ。
なぜあなたは生きているのか、みたいな。
~ジョニー・デップ~
子供の誕生が男の人生を変えるというのはよくある話だが、ジョニー・デップも例外ではなかった。
1999年5月27日以前までの自分のやったことは、まるでイリュージョンのようだった。存在するけれども実態がなかった。娘が、娘の誕生が私に人生を与えてくれた。とその日のことを振り返っている。
多かれ少なかれ男はそういった感動や衝撃をもって子供の誕生を経験する。
女性は妊娠を自覚した時から、いや、自覚しなくとも胎盤に卵子が着床した時から出産するときまでその子と命を共有してきているが、少なくとも子供が生まれた瞬間に男にはその子が自分の分身であるという実感はない。もちろん頭では理解しているが、命の鼓動が感じられないのだ、残念ながら。
だから男はあらゆる種類の意味深い重要なことを考えるようになる。命とか愛とか。
人生で価値ある質問は四つ。何が神聖か? 魂によってつくられたものは? 生きていくうえで価値あるものは? 何のために死ぬことが価値ある死か? 答えはどれも同じ、愛だけだ。
などと言葉を残したりする。
母親が子供と命を共有していた40週間という差は縮まらないし、どんなことをしても追いつけない。出産は英語でGive Birthという。She gave birth to a babyのように使う。つまり子供は母親によってこの世界に送り出されるのである。そして男は出産によって新たな人生を与えられ、生きることとは何か、と考えるようになるのである。
そして男が本当の意味で自分を父親として実感するのはもう少し先のことになるである。